マグネシウムと聞いて何を思い浮かべますか。
豆腐の凝固剤の役割を果たしている「にがり」、丈夫な骨を維持するために飲むサプリメント「カルシウム&マグネシウム」、少し昔をご存知の方でしたら、カメラのフラッシュを思い起こす方もいらっしゃるでしょうね。
そのマグネシウムが石油に替わって新しいエネルギー社会を作ろうとしています。
東京工業大学大学院の矢部先生が研究されているのですが、その内容に驚きとともに希望がわいてきました。
それは太陽のエネルギーをマグネシウムに蓄えるというものでした。
1. 海水を蒸発させると水蒸気は真水として得られ、後には塩やマグネシウムが残りますね。このように海水の淡水化でマグネシウムを取り出します。
2. そのマグネシウムを燃料電池や発電所で使います。マグネシウムは燃えると、酸素と結びついて酸化マグネシウムになり、その時に大きなエネルギーを出します。
火力発電所で石炭を燃やしてエネルギーを得るのと同じ要領ですがマグネシウムの燃焼では二酸化炭素は出ません。
3. 燃焼してできた酸化マグネシウムからマグネシウムを分離します。
マグネシウムは酸素ととても仲良しで、酸化マグネシウムから酸素を引き離すには大きな大きなエネルギー(温度)が必要です。
そこで太陽光をレンズで効率よく集めたセラミックレーザーを使い、酸化マグネシウムを酸素とマグネシウムに分離し、マグネシウムを再生します。このマグネシウムには太陽のエネルギーが蓄えられています。
4. このマグネシウムを酸素と結合させて燃やせば、昼でも夜でも好きなときに船舶や自動車を動かすこともできれば、発電所で電気を発生することもできます。
マグネシウム循環サイクルというわけですね。
マグネシウムは、カメラのフラッシュなどから連想して「危険なもの」と考えがちですが、それは粉末マグネシウムこと。実は燃やすのが大変な物質だそうです。
また、地球の地殻上で8番目くらいに多く存在する資源で、マグネシウムの燃料電池は既に開発され、リチウムイオン電池の約7.5倍の出力が実現されているそうです。
コンビニでマグネシウム燃料電池が買える時代が来そうですね。