2008年8月2日土曜日

海水や泥水から飲料水をつくる逆浸透膜

「命をうばう水・命をくれる水」、日本では、水道の蛇口さえひねれば、安全で衛生的な水をいつでも手に入れることができますが、世界には安全な飲み水を飲めない人が11億人もいます。アフリカのマリ共和国の農村部では、3人に2人が沼や池などの水、人手で掘った浅い井戸の水を使用して生活をしています。

今、このような泥水でも逆浸透膜を通すことで、きれいな水が得られるのです。海水からも飲料水をつくることができます。
自衛隊は、災害派遣やPKO活動で、逆浸透膜浄水システムを使って、飲料水を供給しています。中東、シンガポールなどの水資源の乏しい地域では、豊富な海水を淡水化しています。

逆浸透膜の原理を簡単に説明しましょう。
私たちの髪の毛の太さは約10万ナノメートルです。ウィルスは約10ナノメートル、腎臓の病気のときに人工透析する膜は10ナノメートルくらいの目の粗さです。そして水の分子は0.2ナノメートルとさらに小さいのです。
逆浸透膜というのは、0.2ナノメートルの水と1ナノメートルの塩を分けることができる膜のことです。

                  

片側に真水、もう一方に食塩水を入れておくと、真水は自然に食塩水側へ移動し、同じ濃度になろうとします。この現象を浸透と言い、同じ濃度になろうとする力を浸透圧と言います。
これに対し、浸透圧より大きい圧力をかける事で、半透膜を通し、食塩水中の水分子だけを透過させることができます。通常の浸透現象と逆の働きをする事から「逆浸透」と言われ、このときに使用される半透膜が逆浸透膜です。

逆浸透膜について、日本は世界の65%のシェアを持っているそうです。技術開発によって膜の製造のコストを下げ、貧しい国でも導入できるようになるといいですね。

※1ナノメートルは1メートルの10億分の1です。
NEWater
http://blog.goo.ne.jp/thinking-eco/d/20080628
海水の淡水化
http://blog.goo.ne.jp/thinking-eco/d/20080325