明日6日、全国初の産学官の連携組織「雨水ネットワーク会議」が設立されます。設立を主導する墨田区は雨水利用の先進的な自治体として知られています。
25年ほど前、墨田区の錦糸町や両国地区などでは、地表面のアスファルト化が原因のひとつと考えられる「都市型洪水」に悩まされていました。
墨田区の年間降雨量2000万トンは、区民が1年間に使う水道水の量と同じだそうです。そこで、雨水を貴重な水資源と捕らえ、「雨を流さずに溜める仕組み」を作ることを考えたそうです。
折りしも、両国に新国技館を作る計画が進行中で、国技館の屋根に降る雨を溜め、冷房やトイレの水に使うことを日本相撲協会に提案、説得し、1000トンの容量の雨水タンクを設置しました。理論上は、相撲興行時に必要な水の必要な水の70%を賄え、洪水防止にも役立っているそうです。
この雨水利用の推進者は、墨田区の環境保全課環境啓発主査の村瀬誠さんです。村瀬さんは、海外では通称「雨水博士(Dr.Rainwater)」として知られ、NPO法人「雨水市民の会」事務局長や国際水協会雨水利用専門グループ副座長も務めておられます。
NPO法人「雨水市民の会」は、バングラデシュで、雨水を安全な飲み水として活用してもらうために、天水「Sky water」プロジェクを行っています。地域のNGOと連携して安価な雨水タンクを開発、マイクロクレジットを活用して、希望する家庭に設置しているそうです。バングラデシュには、井戸を掘っても地下水が有害な砒素や塩分で汚染されていて、安全な飲み水を確保できない人がいます。現地の人にとって、雨水は「Sweet water」だそうです。塩分の入った水に慣れた人にとって、雨水は甘く感じるのですね。
現在、日本でもっとも規模が大きいのは福岡ドームの雨水タンクです。韓国ソウルやドイツのサッカースタジアム、北京オリンピックの施設でも雨水利用が導入されているそうです。
気候変動の影響により洪水や渇水の頻発が予測されています。雨水は「流せば洪水溜めれば資源」です。雨水を有効利用するためにも、雨水タンクの設置などが社会システムに組み込まれるといいですね。