テレビや新聞で大きく報道されています好適環境水。このところの燃料高による休漁、赤潮発生や海水温度上昇のニュースを耳にするたびに、好適環境水が頭をよぎります。
太古の海では今ほど海水は塩辛くなく、海水魚の祖先も淡水魚の祖先もいっしょに棲んでいたはずとか。
岡山理科大学専門学校の山本先生は、その太古の海を研究し、魚に必要なナトリウムやカリウムなどの数種の必須成分と濃度を特定、淡水魚と海水魚を一緒に飼育できる「不思議な水」好適環境水を開発なさったのです。
人間も魚も植物も、体液や細胞液の組成を一定に保つために、浸透圧の調整が不可欠です。好適環境水の中では浸透圧の調整の必要がなく、浸透圧が高い海水に棲む魚も浸透圧が低い淡水に棲む魚も、一緒に棲むことができるそうです。
好適環境水にはメリットがたくさんあります。
浸透圧調整のために消費していたエネルギーを成長のために使えるため、成長が速いのです。従来の陸上での養殖では人工海水代や冷暖房費にコストがかかっていましたが、必須成分を水に溶かすだけ好適環境水は人工海水に比べ60分の1のコストで済むそうです。病気にもかかりにくく、クスリに頼らずに飼育できるのは嬉しいことです。
山間部での養殖はすでに行われており、次は、ハマチやシマアジ、その先はマグロの養殖に挑戦するようですよ。
家庭菜園のごとく家庭で養殖というのも夢ではないかもしれませんね。
3月には試食会が行われ、フグやヒラメは美味しかったそうです。山本先生は、「これから養殖に適合する魚種を確かめ、今年度中に実用化に向け方向性を出したい」とおっしゃっておられます。実用化が待ち遠しいのですね。