熱帯や亜熱帯の海岸を縁取り、天然の防波堤として波をさえぎり、海岸を侵食から守っているサンゴ礁。サンゴ礁の海は、海洋面積全体の0.2%を占めるのみですが、海に生息する生きものの4分の1がサンゴ礁の自然に関わって生きているといわれています。
サンゴは、クラゲやイソギンチャクと同じ仲間の動物です。
今、白化が問題となっているのは、太陽光線の届かない深海にいる宝石サンゴではなく、浅い海でサンゴ礁を形成する造礁サンゴ(以下、サンゴ)です。
サンゴは、褐虫藻と呼ばれる藻類を体内に共生させ、褐虫藻が光合成によって作り出す栄養分を食べて成長します。サンゴ礁の美しい彩りは褐中藻の色の違いから生まれています。
ところが、何らかの環境ストレスにより褐虫藻が光合成回路に異常を来たした時、サンゴが褐虫藻を放出するため、サンゴの骨格の白い色が目立つようになります。この現象が「白化現象」です。
環境ストレスとして、高水温だけでなく、海水の酸性化、淡水や土砂の流入、強い光、これらのストレスの複合効果が考えられます。
環境が回復すれば褐虫藻を再び獲得して、サンゴは健全な状態に戻りますが、環境が回復せず白化が長く続くとサンゴは死んでしまうのです。
1997年から1998年にかけて、エルニーニョに伴う海水温の上昇により、全世界的な規模で白化現象が起き、多くのサンゴが死んでしまいました。
2008年は、国際サンゴ礁年です。サンゴ礁の保全は、海の環境保全の大きなテーマの一つです。大勢の人にサンゴ礁についての理解を深めてもらうための活動が、各国で行なわれます。