主要8カ国(G8)と中国、インド、韓国を加えたエネルギー相会合が8日青森で開かれ、共同声明「青森宣言」を採択しました。この宣言の中では原子力発電の有効性も指摘されました。
原子力発電といえば、1979年アメリカでのスリーマイル島原発事故や1986年ソ連(当時)でのチェルノブイリ原発事故が即座に思い出されます。それ以来、原発に対しアレルギーのようなものを持っている方も多いのではないでしょうか。ここ30年、世界的に「反原発」の世論が大勢を占めていたように思います。日本でも1995年に起きた、高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故は記憶に新しいですね。
しかし、地球温暖化と原油価格高騰が政策転換を促し、凍結していた原発の建設再開が検討されるようになりました。
地球温暖化の原因の1つとされるCO2の排出量を、建設・運用・燃料輸送などを含むサイクル全体で考えた場合、1kWhあたりのCO2排出量は、石油火力発電が約742g、太陽光発電は約53g、原子力発電が約23g、水力発電は約11gです。(出典:ライフサイクルCO2排出量による発電技術の評価、電力中央研究所報告)
原子力発電は、石油火力発電に比べると、明らかにクリーンなエネルギーです。また、石油には価格高騰や枯渇不安の懸念があり、「石油依存からの脱却」という面からも、原発が注目されているのです。
電力の15%をスウェーデンなどから輸入し、天然ガスをロシアから輸入しているフィンランドは原発の建設を約30年ぶりに始めました。イギリス、イタリアも原発再評価の必要性を訴えています。ドイツでは、既設の稼動中の原発は2020年までに閉鎖されることになっていますが、メルケル首相は、明確な意思表示はないものの、原発推進の意向を持つとされているようです。米国では既に原発政策を転換し、大量建設計画が進んでいます。カナダも、原発の新規建設を検討しているようです。
原子力産業や原子力政策の関係者は、このような脱原発から原子力発電への回帰を「原子力ルネサンス」と呼んでいます。
日本ではどのように進んでいくのでしょうね?