環境難民とは、海面上昇や砂漠化、森林伐採など、環境・気候の著しい変化によって、住んでいた土地を離れなくてならなくなった人々のことを言います。
国連環境計画(UNEP)によると、世界では毎年、九州と四国を合わせた面積に等しい約6万平方㌔の土地が砂漠化しており、アフリカは最も深刻な状況にあるそうです。砂漠になった土地では人間は生きられません。環境難民になってしまいます。
インド洋に浮かぶ美しいリゾート地、モルディブの大統領は、1992年ブラジルで行われた地球サミットで「温暖化による海面上昇で海岸の侵食が進んでいる。このままでは国が水没する」と訴えていました。しかし、国際社会がモルディブの問題を認識するようになったのは、2005年に発生したスマトラ沖津波で大きな被害を受けてからでした。今なお多くの人々が家から遠く離れた場所で避難生活を送っています。
ブラジルは、製紙パルプの原料となるユーカリの世界最大の植林国です。農民たちは製紙会社に土地を売って都市部へと移住し、スラム街で厳しい生活を送っています。
2003年、国連は環境難民が初めて戦争難民と政治難民の数を上回ったと発表しました。地球温暖化の進行で、その数はさらに増加し、今世紀末には、環境難民が2億人に達すると予想されています。
環境難民は、戦争や突発的に発生する自然災害による難民と、住むところを追われたという点では変わらないのですが、ゆっくりとした環境の変化による影響を受けて難民になるため、認知されにくく、支援に関しては厳しい状況にあるようです。