春の訪れを知らせる「黄砂」ですが、洗濯物や車に降り注ぎ、困ってしまいますね。
黄砂は、中国内陸部のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠や黄土高原などの乾燥地域で発生する、大きさが0.005ミリメートルほどの塵ような砂です。黄土色をし、指でさわると、壁土みたいでちょっと粘っこい感じがします。このあたりで多発する低気圧の上昇気流によって、空高く巻き上げられ、偏西風に乗って、2、3日かけて、日本へ飛来します。
砂が乾燥し、風が強まるなど、条件がそろう2~5月が黄砂の本格的なシーズンですが、ハワイやアメリカにも届くことがあり、黄砂に含まれるリンやミネラル分が、ハワイ諸島の森林やハワイ沖のプランクトンの増殖に欠かせないそうです。
一方、黄砂には粘土鉱物の成分のほかに、アンモニウムイオン、硫酸イオン、硝酸イオンなどの汚染物質も付着しています。飛来する過程で、大気汚染物質を取り込んでいる可能性が示唆され、健康面への悪影響も懸念されています。
また、黄砂が空中を漂うことにより大きな日傘となり,太陽放射を宇宙へ反射し,地上へ届くエネルギーを減らし,温暖ガスとは反対の冷却ガスとしての効果もあるといわれています。
物理的、化学的には、必ずしも十分には解明されていない黄砂ですが、最近は、単なる自然現象ではなく、森林の減少、過放牧、砂漠化といった人為的影響による側面も持った環境問題としての認識が高まっています。