2008年4月16日水曜日

洞爺湖のはなし(2)

洞爺湖の中央に浮かぶ、針葉樹・広葉樹の木々、野鳥などの自然豊かな無人島「中島」。中島は四島からなっており、中でも外周約11kmの大島には野生のシカが生息しています。かつて、人が持ち込んだシカが増殖したものです。

シカは、笹などのエサがなくなると、木の皮を食べるため木が枯れてしまいます。木が枯れると大量の土砂が洞爺湖に流れ込み、マスなどの漁業に大きな影響を与えます。そのため、15年程前に、350頭いるシカの100頭を生け捕りにしましたが、捕獲について賛否両論あり、結局そのまま放置していていたそうです。

すると、最近シカが小型化してきたのです。さらに、子供を産む時期が従来の春から夏にずれ込んでいます。かつては春に生まれて、子供が自分でエサを取れるようになって冬を迎えていたのですが、夏に生まれるために、成長しきれないうちに冬を迎え、冬を越せずに死んでしまうシカもいるのです。

結果的に、人間が放っておいたために、野生のシカは「中島」という孤立した場所で生きながらえるシカに変わってきました。自然の力で人間と共生できるようになった、といえるかもしれませんね。

かつて水質汚染が進んだときは獲れなかったサクラマスが、最近は洞爺湖のサクラマスとして有名になってきているそうです。(日経エコロミー「キーマンインタビュー」から)

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