気候の温暖化によって、世界の海水温度はこの約50年間で約0.5度上昇したそうです。この海水温度の上昇が、海水中の酸素濃度の低下を引き起こしているそうです。独米の研究チームが、船や観測用浮きが1960~2007年に収集した海洋の酸素濃度などを調べた結果、熱帯の大西洋や太平洋で、低酸素の海域が広がっていることがわかりました。
もともと、海面の表層は酸素濃度も高く、生物の種類も豊富です。そして、全海洋の90%以上を占める、深度が200mより深く海底より50m上の中深層は、酸素濃度も低く、光もほとんど届かず、多くの生物にとって厳しい環境ですが、最近の調査で、クラゲを中心に、多様な生物が生息していることが明らかになってきました。また、海底付近では窒素やリンなど、植物プランクトンの栄養分となる物質が溜まっているそうです。
冬になって気温が下がると、表層の海水が冷やされ重くなって沈み、深層の海水と入れ替わります。この時、沈む海水は酸素を深層に運び、深層の海水は海底に溜まっていた窒素やリンなど、植物プランクトンの栄養分となる物質を表層に運んできます。海水の循環によって、水深5000メートルの海水中にも酸素が含まれているそうです。
ところが温暖化によって表層の水が温められると軽くなって沈まず、蓋をしたような状態となって循環が起きなくなってしまうことが考えられています。中深層での酸素不足が発生します。酸素を必要とする生物にとっては、不毛の海になりかねないのです。
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http://www.thinking-eco.net/index.htm