「ふゆみずたんぼ米」って、可愛い名まえですね。
宮城県北部の蕪栗沼(かぶくりぬま)周辺の水田で作られるお米の名まえです。「冬期湛水水田」と言って、秋の収穫後、田んぼに水を張り、冬の間も水を張った状態にしておく耕作方法で作られることから、このような名前が付けられたそうです。
もともと、蕪栗沼(かぶくりぬま)は、国の天然記念物マガンを中心とする渡り鳥の宝庫でした。そこに、冬の間、落穂を残し、田んぼを耕さないまま水を張った「ふゆみずたんぼ」が加わり、渡り鳥のねぐら、餌場、休憩所が広がり、マガンの飛来数では日本最大の越冬地になりました。
また、「ふゆみずたんぼ」には、「土づくり」「抑草効果」というふたつの大きな効果があるそうです。水が張られた田んぼの中に棲む菌類やイトミミズによって、「トロトロ層」と呼ばれる栄養豊かな土壌が作られ、その「トロトロ層」下にある雑草の種は発芽できないで死滅してしまうそうです。
田植えをした後もイトミミズは増え続けるそうで、結果として肥料なしで稲は育ち、雑草が生えないので、農薬も不要になります。また、農薬を使わない田んぼには『くもの巣』が一面に広がります。この『くもの巣』は、田んぼにやってくる虫を駆除してくれるのです。
こうして栽培された「ふゆみずたんぼ米」は、無農薬で環境にやさしい安全なお米として市場でも高い値段で販売されます。
「蕪栗沼(かぶくりぬま)・周辺水田」は、2005年ラムサール条約による登録されました。生き物を呼び寄せ、その力を活かし、持続可能な農業を目指しており、環境・農業の両面から全国的に注目を浴びています。