地球温暖化によって、蚊が媒介する感染症、マラリア、デング熱、西ナイル熱などが、増加すると考えられています。
マラリアは、日本でも、1890年に屯田兵とその家族に流行したという記録が残っています。現在の日本で発生しなくなっているのは、蚊の生息条件や住宅構造、人の行動様式などが変わり、マラリア患者がいなくなったためなのです。温暖化や大規模な自然災害などで生活様式が変化すると、“再発・再流行”の可能性があるのです。
西ナイル熱は、人が感染すると、高熱や脳炎などを引き起こします。アフリカの風土病であったこの病気は、鳥にもうつることから、流行地域が大きく拡大したと考えられています。過去数年で、ニューヨークを起点として全米に急速に拡大しており、毎年数千人の患者と約100人の死亡者が発生しています。シベリアなどの寒冷地域でも発生しています。
デング熱は、ヤブカと呼ばれるネッタイシマカや、ヒトスジシマカが媒介します。語源が、スペイン語の「激痛」を意味する「denguero」に由来しているという説もあるとおり、この病気になると、突然の高熱と発疹、その直後に激しい痛みが生じます。 熱帯地方で発生したこの病気も、温暖化やヒートアイランドなどの影響で、蚊の分布域が拡大すること、流行の可能性が考えられます。