2008年1月20日日曜日

フロン

およそ35億年ほど前、海の中で生命が誕生しました。その生命活動によって作られた酸素は地上に拡がっていきます。やがて、成層圏まで届いた酸素(O)は、太陽からの強い紫外線によって、オゾン(O)に変化し、地球を覆うオゾン層を作りました。オゾン層が太陽からの紫外線を吸収してくれるおかげで、陸上でも生命活動が始まりました。およそ4億年前のことです。

そのオゾン層がフロンによって破壊されていることが80年代にわかりました。フロンは、冷蔵庫などの冷媒、精密な部品の洗浄剤、スプレーの噴射剤などとして広く使われている、人工的に作られた安定した物質です。オゾン層破壊に関係するのは、数百種類もあるフロンの中の、塩素原子を含んだフロンです。オゾンと反応し、オゾンを酸素原子(O)に分解することがわかってきました。

現在のオゾンを破壊しているのは15年前に私たちが放出したフロンだそうです。90年代になってオゾン層破壊物質の規制が国際的に行われました。日本でもオゾン層破壊を引き起こさない「代替フロン」が使われるようになっています。このフロン規制によってオゾン層は21世紀初頭から半ばには回復に転じると言われています。

しかし、フロンはオゾン層を破壊するだけではないのです。二酸化炭素の1300倍もの「温室効果」を持つのです。「代替フロン」はまだまだ使用されています。二酸化炭素は森林が吸収してくれますが、フロンを吸収してくれる物質はありません。完全な脱フロンがなされなければ、状況は決してよくならないようです。