2008年12月8日月曜日

失われる多様性

最近、生物多様性という言葉をよく耳にしますが、
生物多様性というのは、40億年近い進化の歴史を経た様々な生き物が、地球のあちこちにいて、それぞれの暮らしを営み、様々な生態系を形作っていることです。(国立環境研究所の竹中先生)

トラ、アフリカゾウ、クロサイなど多種多様な野生動物が、現在危機的な状況に追いこまれるなど、多様性が失われようとしています。

過去には、氷河期であったり、恐竜の絶滅であったり、大絶滅といえる事象が5回あったそうです。その中で、地球上に発生した生物の90%~99%が絶滅したといわれ、その種(*)の数は、50億種から500億種にものぼると推定されています。

それでも、化石時代(一万年以上前)までは、絶滅する種の数は、平均すると1年あたり100万種につき1種の割合だったそうです。

しかし現在は、より早いスピードで、生物の絶滅が起きていると考えられています。
一例をあげると、生物種の50%~90%が生存するといわれる熱帯雨林(地上の面積の約7%)では、森林の消失に伴い、一日あたり74種もの生物が絶滅しているといわれているのです。(E・O・ウィルソン『生命の多様性』1992年、WWFホームページ参考)

私たちの日常生活をふり返ると、燃料は生物由来のものですし、口にするものは、水と塩以外は、生物そのものであったり、生物を経由して手に入れているように思います。
そのことを忘れて、森林を破壊したり、海を汚染したり、二酸化炭素を大量放出して地球温暖化を進めたりしているのですね。

生物はそれぞれの環境の中で、調和をとりながら営みを続けてきました。
身近なところでは、教材にも使われ、宇宙食としても注目されているカイコは桑の葉があれば育ちます。アゲハチョウは柑橘類の葉を食べ、パンダは笹、コアラはユーカリ、というように、食べるものが重ならないような棲み分けもその例です。

私たちの日常から離れたところで営まれている、多様な生き物の多様な暮らに心を向けてみませんか。

 種(*) 人間:動物界>脊椎動物門>霊長目>ヒト科>Homo属>sapiens)