2008年9月3日水曜日

エチゼンクラゲ

水槽でゆらゆらしているクラゲを見ていると心が癒されますね。
実は、この傘をひらひらさせながら漂うクラゲは、太古の昔から海を漂いながら、ずっと地球の進化を眺めてきた、とてもタフな生物のようです。

エチゼンクラゲはまさにタフなクラゲの代表格かもしれません。
水温の高いところでは盛んに増殖し、酸素の乏しい海にも強いことは、他のクラゲも同様ですが、エチゼンクラゲは、強烈な毒をもつこと、長さが5mにも達する触手が多くあること、触手の元にたくさんの口があり、多くの餌をすばやく食べることができることなどから成長が速いのです。
また、からだの1/4くらいまでの損傷なら復元可能で、船などの高い音を危険と察知することもできるとか。

ただ、カワハギやサバはクラゲを好み、イボダイもクラゲを餌にしているそうで、「敵なし」言うわけではないようですが・・・・・

発生時の稚クラゲの大きさはわずか3mm程です。それが成長しながら対馬暖流に乗って移動し、日本海にやってくる頃には、傘の直径が通常1m、ときに2mにも達し、重量も200kgを超えるそうです。

この漁師さんを悩ます巨大生物エチゼンクラゲの大増殖には、私たち人間の営みが大きく関わっているようです。
地球温暖化、海水温の上昇はクラゲにとって活動しやすい環境です。東シナ海での魚の乱獲は、クラゲの天敵である魚を減少させ、クラゲの増殖につながります。中国沿岸の急激な開発に伴う工業廃水や生活排水による富栄養化は、プランクトンの異常発生をまねき、海の低酸素化をまねき、魚には棲みづらい環境になりますが、クラゲには有利にはたらくでしょう。

こうなると、漁師さんだけの問題ではありません。エチゼンクラゲの駆除や利用法を考える事も重要ですが、東シナ海から日本海にかけて豊かな海を取り戻すために、海の汚染や魚の乱獲に関して、国境を越えた規制を行うことも重要でしょう!