2008年7月11日金曜日

諫早湾干拓訴訟

干拓と漁業被害との因果関係が最大の争点となっていました諫早湾干拓訴訟。干拓事業と諫早湾の環境変化、漁業被害との因果関係を認め、潮受け堤防の排水門開門を命じた佐賀地裁判決を受け、国は、開門によって、農漁業者が救済されると判断するのは困難と判断、福岡高裁に控訴しました。

諫早湾奥が閉め切られたのは1997年。それ以来、漁獲量の減少、ノリの不作など、年々環境の急激な悪化が心配されています。しかし、すでに干拓事業は完了し、今年4月から営農が始まっています。排水門を開けると、今度は農業に支障をきたすそうです。そして、新たな税金投入も必要になるかもしれないとか。困ったものですね。「始まると止まらぬ公共事業」、時間が経過するほどに、解決が難しくなるような気がしますね。

そして、時間が経過するほどに取り返しのつかないものが、もう一つ。有明海にしか生息しない貴重な生物や絶滅が心配されている多数の生物が息づく自然環境です。
九州の有明海沿岸には、日本に残る干潟の約4割があると言われています。有明海の沿岸には6メートルに及ぶ、日本最大の干満の差と、100を超える河川の流入によって形成された、大きな干潟が発達しています。WWFジャパンも支援活動をしています国内でも有数の貴重な自然環境なのです。

シチメンソウで赤く染められた海岸、すぐ傍の干潟で飛び跳ねる愛嬌たっぷりのムツゴロウ。干物になると、ちょっと凄みのきいた顔に変身するワラスボ。どれもこれも守りたいものばかりです。
農水相は、特産魚類の生息調査や貝類も含めた増・養殖技術開発の検討などに取り組む方針も示していました。早々に行われることを期待したいですね。