2008年7月13日日曜日

シガテラ中毒

シガテラ中毒は、サンゴ礁海域にすむ魚を原因として起きる食中毒です。自然毒食中毒としては世界的に最大の規模で、年間2万人以上の中毒患者が発生しています。死亡率は低いものの、下痢や吐き気のほかに、ドライアイス・センセーションと呼ばれる温度を感じる感覚の麻痺を伴い、回復には数ヶ月以上かかるそうです。

コロンブスが航海を始めた15世紀から、「サンゴ礁に船が座礁すると、そこに住む魚が毒をもつ」という言い伝えがあり、クック船長の日記にも「ふだんは無毒のはずの魚をたべ、奇妙な中毒を起こす船員がいる」と書かれているそうです。

東北大学の安元先生は、1976年にWHO(世界保健機構)の依頼を受け、シガテラ中毒の多発地帯のタヒチで、シガテラ毒の研究を始め、原因を明らかにしました。
その結果、サンゴが何らかの原因で死んだあとに、環境の変化に強い石灰藻が増え、その石灰藻に付着する渦鞭毛藻と呼ばれるプランクトンよって、シガテラ中毒の原因となるシガトキシン類が生産されることが分かりました。

シガトキシン類は食物連鎖をとおして次々と魚に蓄積されていきます。
沖縄県や南九州での中毒はしばしば発生していましたが、2002年末、千葉県内の料理店でイシガキダイを食べた人が、昨年には大阪府でも、イシガキダイを食べた釣り人が、中毒になりました。

地球温暖化により海の環境も変化してきています。
オニヒトデが大量発生し、サンゴを食い荒らすという異常事態も起きています。サンゴの死滅は、シガテラ中毒の発生につながります。海水温上昇によって魚を毒化するプランクトンの生息域が広がっている可能性があります。亜熱帯以南でしか起きないはずの「シガテラ中毒」の温帯域への拡大が懸念されています。