2008年7月23日水曜日

日本とハンガリーの排出量取引


7月19日のブログ『バチカン市国のカーボンニュートラル化』の中で、「クリマファは、ハンガリー中央部の15㌶の区画に森を蘇させることによって、バチカン市国が排出するCO2を相殺」の旨紹介しました。

ハンガリーの新興企業クリマファが、バチカン市国に、「排出量」という形の寄付を行ったのですね。寄付と言えば、お金や貴重な物品を連想しがちですが、これからは、「排出量」という形の寄贈もあるのでしょうね。

ハンガリーでは、森林の荒廃がすすみ、1990年代初めには、森林の約3割に枯死や落葉の異変などがみられたため、植林計画を立て、植林に力を注いでいます。
また、ハンガリーは、京都議定書で、6%の削減義務を負っているのですが、社会主義から市場経済への移行期に経済が低迷だったこともあって、すでに目標を達成し、さらに、最大1億トン程度の余剰が発生する見通しだそうです。
余剰分は目標達成が難しい国などに排出権として売却できるため、ハンガリーは日本や他の欧州諸国と交渉を進めているそうです。

そこで、日本政府は、省エネなどの国内対策だけでは、京都議定書で定められた温室効果ガス削減目標を達成できないと見られることから、その分を補うために、京都メカニズムの先進国同士の排出量売買を決めた「共同実施(JI)」を活用し、ハンガリー政府から、温室効果ガスの排出権を買うことを決めました。

さらに、支払う代金の使い道は、「グリーン投資スキーム」活用し、ハンガリー国内の温室効果ガス排出量の削減に貢献し得る環境対策に限定されています。
日本政府は、ハンガリーが2008年に約1000万トンを売ると想定し、欧州連合(EU)の企業間市場で取引されている値段を参考に、全量買った場合の代金は200億円規模になると見ているようです。